魔法少女まどか☆マギカ #10 「もう誰にも頼らない」 考察追記の追記

ネタバレ有りです。そしていつになく長いです。

詳細がはっきりしたような気がしていたワルプルギスの夜ですが、丹念に拾ってみるとそれは思い込みかなあという指摘とか、自分の気づきとかありまして。

時間が何回も遡及するので、見知らぬ英語圏の人が作った「MADOKA TIMELINE CHART」にの分類にしたがって、本稿においては以下のように表現します。

  • TIMELINE1(TL1) — ほむら、魔法少女マミ、まどかに救われる。マミ決戦の前に殉死、まどかもワルプルギスの夜によって倒される。守られてばかりだった自分を悔いたほむらは、守られる自分ではなく、まどかを守る自分になってまどかとの出会いをやる直すことを希望し、キュゥべえと契約。繰り返しが始まる
  • TIMELINE2(TL2) — ほむら、退院日へ戻る。魔法少女マミ、まどかと共闘する。おそらくマミは途中で殉死し、まどかはなんとかワルプルギスの夜を倒すが魔女化。ほむらは魔法少女のからくりを知り、それを伝えて悲劇を回避するため再び時間をさかのぼる。
  • TIMELINE3(TL3) — ほむら合流の時点で魔法少女はマミ、さやか、まどか。別チームとして杏子がいる。ほむら、さやかの説得に失敗。さやかは魔女化しほむらに倒されるが、魔法少女のからくりを目の前にしたマミが将来を悲観し無理心中を図るべく杏子のソウルジェムを破壊して殺害。ほむらをも狙うが、まどかによってマミのソウルジェムが砕かれて死亡。残された2人は力を合わせてワルプルギスナイトに挑むが敗退。まどか、隠し持っていたグリーフシードでほむらを浄化。キュゥべえにだまされる前の自分を助けること、魔女化する前に自分を殺すことをほむらに依頼する。ほむらは依頼を引き受け、まどかに引き金を引いたあと時間を戻る。
  • TIMELINE4(TL4) — ほむらはひたすら一人で魔女狩りを続け、キュゥべえにかんしても何度も破壊することでまどかを魔法少女にさせないままワルプルギスの夜を迎える。だがその戦いの最中の隙にまどかはキュゥべえと契約。まどかは強大な魔力を発揮し、ワルプルギスの夜を倒すが即時魔女化。キュゥべえに戦わないのかと聞かれたほむらはここは私の戦場ではないと言い残し、時をさかのぼる。
  • TIMELINE5(TL5) — 本編

個人的にはTL3は複数のタイムラインのエピソードのような気がしているのだが、そこは大きな問題ではないので。

特筆すべきは、前回の考察追記にも書いたこどではありますが、QBがただ何の利益もなしに契約するとは思えないこと、そして、TLを重ねるごとにまどかの自信が失われていき、かつての ほむらと役割が逆転していること、そして、魔女化したときのまどかの力がどんどん大きくなっていっていること、かな。

そして、TL4においてはQBはエネルギー回収ノルマ達成を宣言して地球は見捨てる行動をとろうとすること。

これらをあわせて考えると、ほむらは、TL1のQBがエネルギー回収目標を達成できないことがわかったため、エネルギー回収量を増やすために送り込んだある種の刺客なのではないか? という疑惑がわいてくる。まどかがたとえば「ケーキをいっぱい食べてパーティーをしたい」とかいうどうしょうもない願いではなくて、もっとシリアスな願いで契約をし、できるだけ強い魔法少女となれるように。

おそらくQB族の発想では、TL4にてエネルギーは回収し終わり、ほむらはかつてまどかだった魔女と戦い敗れ、そこでループから抜け出す予定だったのではないか。

だがしかし、ここで最大の疑問がある。(と友人に指摘された)

はたして「ワルプルギスの夜は倒さなければいけないのか?」ということだ。

本編のタイムラインにおいて、マミさんはおそらくワルプルギスの夜を知っていたと思うが、語る前に殉死した。また、ワルプルギスの夜を知っていた杏子も殉死しているので、もし、まどかがワルプルギスの夜を倒すべきだと知らされる相手は、ほむらもしくはQBである可能性が高い。

では、ほむらはなぜワルプルギスの夜を倒すべきだと思っているのか。画面描写上、実は「ソースはTL1のまどか」である。TL1のまどかのソースは「TL1のマミさん」なので、それ以前にほむらが事情を聞いていても、ソースは同じだ。では「TL1のマミさん」はどこからその情報を得たのか。それは「TL1のQB」としか考えられない(もしくは先代魔法少女かもしれないが、もしそうだとしてもたどっていくと同じソースにたどり着くはずだ) そして「ソースがQB」の場合でも、直接倒せ、と言ったわけではなく「ワルプルギスの夜がくると大変なことになってしまうんだ」ぐらいの事実提示だけなのではないかなあと。

だから、TLは論理上6つの結末が考えられる。

  1. ワルプルギスの夜は倒さなくてもよい、したがって倒さない
  2. ワルプルギスの夜は倒さなくてもよい、しかし倒そうとして倒せなかった
  3. ワルプルギスの夜は倒さなくてもよい、だが倒した
  4. ワルプルギスの夜は倒さなければならない、だが倒さない
  5. ワルプルギスの夜は倒さなければならない、しかし倒そうとして倒せなかった
  6. ワルプルギスの夜は倒さなければならない、だから倒した

仮に1〜3をA群、残りをB群とする。いままで視聴者はB群だと思っていたわけで、TL1,3はパターン5であり、魔法少女は(事実上)死滅した。TL2,4はパターン6で、いずれもワルプルギスの夜の打倒者は魔女化した、ないしは、魔女化する直前に殺害される。

QBの目的はエネルギーをできるだけ多く、少なくともノルマ以上に回収することにある、と仮定する。TL1,3はワルプルギスの夜、またはそれ以前に魔法少女は倒されており、おそらく大きなエネルギーは回収できてないのではないか?(QB自体が「魔法少女の希望が絶望に変わる瞬間=魔女になる瞬間」に最大のエネルギーが回収できる、と言っているのが正しいとすると、だが) TL2では2人の魔法少女が魔女になりかけたが、結局魔女にならないままTLがクローズされた。QBはTL4で初めて回収目的に達したして帰還を宣言している。ノルマの最後の残りエネルギーの回収元はワルプルギスの夜を倒したまどかが魔女化したときのエネルギーだ。

つまり、QB的にはワルプルギスの夜とは、そこまで到達できた強い魔法少女に魔力を使い果たさせる舞台装置ではないのだろうか? 最強の魔法少女が最悪の魔女に変わるときの落差がもっともエネルギーを生むと考えられるからだ。

さて、ワルプルギスの夜を倒さなければならないものだと考えると、パターン4は、ナンセンスであり、もしこの終結を向かえるのであれば、世界、もしくはもっと狭い範囲かもしれないが、何らかのエリアの破滅より、個人的な幸せを選ぶという物語になるであろう。それはそれでありがちな結論ではあるのだけど、そして、それは今まで予想された結末ではあるのだけど、いままでの物語の進行からしてすっきりしない終わり方になりそうな気はする。

ワルプルギスの夜を倒すという前提の元で、物語が物語として取り得る残りの選択肢は、ほむらもしくはまどかが再び時を巻き戻すというオプション(=ワルプルギスの夜は倒さなければならないが、逃げる)ぐらいしか思いつかなくて、前回の考察追記にはそう書いたわけだが。

前提である「ワルプルギスの夜を倒す」は正しくないと仮定すると、つまりA群であるならば、最良の選択肢は1であり、如何にして登場人物がそれに気がつくか、が物語の焦点になってくる。おそらくタイミング的には12話でそのターニングポイントがあると思うのだけど、情報は出し惜しみしない作品なので、11話でそれが提示される可能性もある。

予告の「ずっとあの子達を見守りながら、あなたは何にも感じなかったの? みんながどんなにつらかったかわかってあげようとしなかったの?」というまどかの台詞、そして「最後に残った道しるべ」という、サブタイトルとおそらくほむらの台詞。

まどかを助けることだけを考えていたほむらに、まどかが諭した台詞だとすると、そして、ワルプルギスの夜を倒さなくて結局いいのだと気がついて、そのどちらをも、ほむらが受け入れられたのであれば、すでにまどか以外の魔法少女は失われている本編TLから離脱し、新たなまどかのメッセージを胸に抱いて新たなTLのプロローグをみせることで、この周回はBEST ENDだったけど、次の周回は(もしくはその次の周回は) TRUE ENDにむかえるのではないか? という予兆をみせるというのはこの作品の落としどころとしてはありだと思ったりする。 パターン1が最良である、ということに気がつくまでの物語だという位置づけ。

とはいえ、まあ、その辺もひっくり返してくれてもいいのよ?

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