映画とペプシコーラ

子供の頃、うちの街には映画館がありませんでした。凄い正確に言えばポルノ映画専用の映画館はあったけど、自分の見たい映画は掛かってなかった訳です。余談ですが、そのポルノ映画館にはエッチな看板画が堂々と掲げられていたので、特別秘密の場所ではなかったと思います。子供の手を引いたご婦人も普通に前を通るくらいには。

まあそんな感じで、自分の見たい映画は隣の市の映画館まで国鉄に乗って見ることになるんです。小学生にはそれ自体がちょっとした冒険です。

そんな冒険お据えにたどり着いた映画館で見た数々の映画自体も、もちろん楽しくて、今でも色々憶えている位なのです。ですが、そこには別の楽しみもありました。

映画館は銭湯の番台みたいな入口になっていて、入口にいるおばさんにお金を払ってモギリ済みの半券をもらう感じだったと記憶しています。もしかしたら半券すらなかったかもしれません。その「映画館の番台」にはガラスケースが併設されていて、そこには映画のパンフレットと、透明な袋に入ったポテトチップス、そして、瓶入りのペプシコーラが売っていました。

当時の私にとって、ペプシコーラはヒドく特別な飲み物で、その映画館に行ったときだけ飲むことが出来るものでした。コカコーラはそれこそ町中の自販機(これも瓶が出てきます)でも変えるぐらいメジャーな飲み物でしたが、少なくとも私はペプシコーラをっこ子以外でみたことはありませんでした。

ペプシコーラは小学生の私には薬品っぽくて、より秘密の飲み物っぽい感じがしました。

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